そろそろ、「かぜ」の本格的なシーズンが到来します。かぜというと、つい軽く考えがちですが、こじらせると「肺炎」を引き起こす、なかなかやっかいな病気でもあります。
肺炎は、最近では効果的な薬も開発され、以前ほど恐ろしい病気ではないといわれるようになりました。しかし、社会の高齢化に伴って、お年寄りの人口が増えたことなどから、肺炎がもとで命を落とす人の数は、むしろ増加傾向にあります。「かぜは万病のもと」といいますが、かぜを侮っていると、生命を危険にさらすこともあるのです。
 

炎症の起こる場所によって「かぜ」と「肺炎」に分かれます。上気道に炎症が起こるのが「かぜ」。
 
私たちが鼻や口から吸い込んだ空気は、咽頭、喉頭を通って気管に入り、さらにその先の細かく枝分かれした気管支から肺に達します。 このような空気の通り道を「気道」といいます。
「かぜ」は、空気中のウイルスなどの病原微生物が、鼻から声帯(喉頭)までの「上気道」に感染し、炎症を起こす病気です。主な症状は、「くしゃみ、鼻水、鼻詰まり、のどの痛み、かすれ声、発熱、頭痛」などです。夏かぜの原因となる「アデノウイルス」は、「結膜炎(目の粘膜の炎症)」を起こすこともあります。
炎症が気管や気管支にまで及ぶと、「せきや痰」も伴うようになります。この状態を「気管支炎」といいます。
さらに進行すると、炎症が肺のいちばん奥にある、「肺胞」という部分にまで及びます。これが「肺炎」です。
肺胞は、ぶどうの房状に連なった球状の組織で、空気から酸素を取り入れ、血液中の二酸化炭素を排出する「ガス交換」を行なっております。肺胞の広い範囲に炎症が起こると、ガス交換ができなくなるために、呼吸困難に陥ります。 治療が遅れると、酸素不足になって命を落とすこともあります。

かぜは、その9割以上がウイルスを原因として起こります。
かぜを起こすウイルスは100種類以上あります。なかでも怖いのは「インフルエンザウイルス」です。感染力は非常に強く、いったん発生すると爆発的に流行します。また、高熱、筋肉痛や倦怠感などの全身症状が重く、最も肺炎を起こしやすいウイルスでもあります。 インフルエンザウイルスは、寒くて乾燥した気候下で活発に活動します。つまり、日本の冬は正にインフルエンザウイルスに適した環境といえるでしょう。

かぜをひいたら、まずは温かくして安静を保ち、十分に栄養を摂るとともに、必要に応じて薬を服用します。
かぜの薬は、ウイルスを退治するものではなく、症状を緩和する薬です。熱には「解熱薬」、頭痛には「頭痛薬」、せきには「せき止」、鼻水には「抗ヒスタミン薬」というように、それぞれ症状に応じた薬が用いられます。いわゆる「総合感冒薬」には、たいてい、これらの成分がすべて含まれています。
そのほか、こまめに水分を補給することも大切です。熱が出ているときは、汗をかいて脱水状態に陥りやすいからです。特にお年寄りは、脱水を起こしやすいので、意識的に水分をとるようにしましょう。また、空気が乾燥していると、ウイルスの活動が活発化し、看病する人にまでかぜがうつってしまうことがあります。加湿器などを利用して、室内の湿度を調節しましょう。なお、たばこを吸う人は症状が長引きますので、禁煙するようにしてください。

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