4月の健康講座では「長引く咳(咳喘息/アトピー性咳)」についてご紹介しました。咳にはいろいろな病気があることをお分かりいただけたことでしょう。 さて、その他にも痰(たん)を伴わない空咳や、息切れが主症状の病気があります。人によっては疲労感、微熱、体重の減少、筋肉痛や関節痛が現れたりする場合もあります。 空咳に引き続き息切れを感じる場合は要注意です。
 

    「間質性肺炎」はさまざまな原因で肺胞の壁やその周辺の間質と呼ばれる部分に炎症が起こり細胞やコラーゲンが増加して肺胞の壁が厚くなる病気です。そのため肺胞を取り囲む血管との間で酸素の交換がうまく行えなくなって息苦しくなったり、咳が出るようになります。この様な変化が慢性的に進行しますと肺胞の壁や周囲の間質に線維化が起こり、肺胞がつぶれて肺が硬くなって膨らみにくくなります。この様な状態を「肺線維症(はいせんいしょう)」と云います。

主な原因
1. 関節リウマチ、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症などの膠原病(こうげんびょう)。
2. 抗がん剤、抗生物質、リウマチ治療薬、漢方薬などの薬剤。
3. 真菌(トリコスポロン)による過敏性肺炎、鳥の羽や糞が原因の鳥飼病。
4. ウィルス感染。
5. アスベスト吸入によるアスベスト肺などが挙げられます。
これらの病気以外に原因のわからない「特発性間質性肺炎」があります。「特発性」というのは原因がわからないという意味です。

   
1. 特発性肺線維症(とくはつ性はいせんい症)
2. 非特異性間質性肺炎(ひとくい性かんしつ性肺炎)
3. 急性間質性肺炎(急性かんしつ性肺炎)
4. 特発性器質化肺炎(とくはつせいきしつか肺炎)
5. 剥離性間質性肺炎(はくり性かんしつ性肺炎)
6. 呼吸細気管支炎関連性間質性肺疾患
7. リンパ球性間質性肺炎
上記のように7種類に分類されます。
このように一口に「間質性肺炎」といっても、他種類の病気が含まれていますので治療法も治療効果も生存期間も大きく異なります。どのような原因で起こった「間質性肺炎」であるのかを厳密な診断を受けて知ることが重要です。



多くの場合は痰(たん)を伴わない空咳で、歩行や会話が誘因となって咳き込みます。病気が進行するとだんだん咳が頻発するようになり息切れが加わります。息切れは階段や坂道を上る時に気付きますが、病気が進行すると平地歩行でも感じるようになり、脈拍も速くなります。さらに進行すると安静時にも息苦しくなり、心不全のために顔や足にむくみが出ることもあります。また、指先が太くなって太鼓を叩くばちに似た“ばち状指”になります。
〈“ばち状指”を詳しく知る〉

1. 聴診でマジックテープをはがす時に生じるようなパリパリという雑音が聞かれます。胸部レントゲン写真では両側肺に白い影が拡がりますが特に下の方に影が強く分布し、進行すると肺が縮んで小さくなります。
〈特発性肺線維症のレントゲン写真を詳しく知る〉
2. CT検査では肺の下部に蜂の巣のように見える“蜂巣肺”がこの病気の特徴的所見として認められます。
〈“蜂巣肺”のCT所見を詳しく知る〉
3. 肺機能検査では肺活量が減少し、ガス拡散能(Dlco)が減少します。また、動脈血の酸素が減少し、血液検査ではKL-6, SP-Dがこの病気の活動性の指標になります。
※最初に述べたように様々な間質性肺炎を区別して正確な診断をするために、胸腔鏡を用いて肺の一部を採取して顕微鏡で調べる検査が必要になる場合もあります。
病気の進行がゆっくりしており、安定している場合は無治療か、咳止めなどの対症療法のみで経過をみる場合もあります。歩行や入浴で血液中の酸素が低下する場合は「在宅酸素療法」を行います。数ヶ月の間に病気が進行する場合にはステロイドや免疫抑制剤(シクロスポリン、サイクロフォスファマイド、アザチオプリン)を開始します。N−アセチルシステインを吸入する治療法もあります。
1. タバコはやめましょう。「特発性肺線維症」の進行を防ぐためには禁煙が必須です。また、本症の20〜30%に肺癌を合併しますのでがんを予防するためにも、他の生活習慣病を予防するためにも禁煙が必要です。
2. 風邪やインフルエンザに気を付けましょう。風邪やインフルエンザをきっかけに急性増悪することがありますので、風邪をひかないように注意し、インフルエンザの予防接種は必ず受けて下さい。
3. 息切れのために動かないでいると体力が低下しますので、積極的に歩きましょう。酸素の低い方は酸素を吸入しながら歩くと楽に歩けます。
4. 咳や息切れが急に強くなったり、発熱やむくみが出たら直ぐに病院を受診して下さい。
  カゼの予防、禁煙、規則正しい生活など、一般的な日常生活の管理が重要です。


1. 歩いたときに息切れをいつもより強く感じる。
2. 咳がいつもよりよく出る。
3. 痰(たん)の色が黄色や褐色で、量も多い。
4. 脈拍がいつもより速い、動悸がする。
 
5. 顔や足がむくんで、急に体重が増える。
6. 唇や爪の色が紫色になる。
7. 体が熱っぽく感じられる。
 
 
 

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