夏型過敏性肺炎は私達の日常の生活環境にある台所・浴室などに繁殖しているトリコスポロンというカビを、知らず知らずのうちに吸い込むことによって起こる事を知っていましたか?
身近に起こる病気ですので、日頃から注意が必要です。
 

    “過敏性肺炎”とは、身の回りの有機あるいは無機のちりほこりを繰り返し吸い込んでいるうちに、これらの物質にアレルギー反応を起こして発症する肺炎のことを言います。昔、ヨーロッパ各地で酪農に従事する農夫が牛の飼料である枯れ草を扱う際に発熱、咳、呼吸困難などの症状を引き起こす「農夫肺」と呼ばれる病気が見つかり、過敏性肺炎という考え方が確立されました。その後、居住環境や職業環境にある種々の物質による過敏性肺炎が相次いでみつかり、現在では50以上の過敏性肺炎が知られています。
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    主に「夏型過敏性肺炎」は、6月頃から10月頃まで夏期をピークに発症するので夏型過敏性肺炎と呼ばれています。
この病気の原因となる物質は酵母カビの1種であるトリコスポロン属のトリコスポロン・アサヒやトリコスポロン・ムコイデスです。この菌は高温多湿な環境で腐木などを栄養源として発育するので、夏期に西日本を中心とした高温多湿の地域に発生しますが最近では我が国だけでなく韓国でも報告されています。


このカビは古い古い家屋で、湿気が多く日当たりや風通しが悪い場所で発育します。台所の水周り、洗面所、風呂場、畳の下などの腐木にカビが生えていると危険です。写真1に夏型過敏性肺炎の発症環境を示します。トリコスポロンの胞子は3〜10ミクロンと極めて小さいので飛散しやすく、肺胞の中まで吸い込まれやすいので肺炎を引き起こすのです。このような環境に住んでいる人に起こりやすい肺炎ですが、特に長時間室内で働く専業主婦に多い病気です。
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症状は発熱、咳、呼吸困難で、トリコスポロンの胞子を吸入後6〜8時間して発熱、咳、呼吸困難が起こりますが、入院や旅行などで家を離れると自然に症状は治まります。
胸部聴診ではマジックテープをはがす時に聞こえるようなパリパリという雑音が聴かれ、胸部レントゲン写真とCTでスリガラス様の淡い陰影が見られます。血液検査では白血球増加、血沈亢進、CRP陽性などの所見が見られ、血液中の酸素が低くなり、肺機能検査では肺活量低下、肺拡散能(DLco)低下が見られます。
〈過敏性肺炎のレントゲン写真・CTを見る〉
治療は自宅から離れ、原因となっているトリコスポロンを吸入する環境から隔離することが必要です。それだけでかなり改善しますが、症状が重い場合はステロイド薬を服用する必要があります。

予防法としては環境改善が最も大切です。夏型過敏性肺炎では原因であるトリコスポロンは日当たりや風通しの悪い湿気の多い台所、洗面所、風呂場などにある腐木、マット、畳、寝具、などに増殖しますので、腐木の除去、畳替え、消毒などでトリコスポロンを除去します。


 

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