呼吸器の病気には、知らず知らずのうちに進行している生活習慣病「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」があります。重症になると大変な苦しみをともなう病気です。 少しでも早期に発見し、病気を進行させないためにもまずは、この病気についてきちんと知ることからはじめましょう。

 

    COPDとは呼吸をするときに空気の通り道となる気道」と酸素炭酸ガスを交換する肺胞に障害がおこり、ゆっくりと呼吸機能が低下する病気です。従来「肺気腫」および「慢性気管支炎」と呼ばれてきた病気を1つにまとめた病名です。
その症状は、
1. 労作時の呼吸困難。
2. 慢性の咳(せき)。
3. 慢性の痰(たん)などです。
喫煙歴のある中高年の人にこれらの症状があればCOPDが疑われます。
COPDを疑う症状を詳しく知る


    <我が国で行われた疫学調査(NICE study)によると>
1.40歳以上の日本人の約530万人、
2.70歳以上の高齢者の211.5万人がCOPDにかかっていると
 考えられます。
<喫煙歴の有無でみると>

1. 現在でも喫煙している人の12.3%、
2.過去に喫煙歴のある人の12.4%がCOPDにかかっていると
 考えられます。

  喫煙が原因です。タバコの本数が多いほど肺機能障害が進行し、タバコを吸い始めた年齢が若いほど進行しやすい病気です。
喫煙はCOPDのリスクの90%を占め、COPDで死亡した患者さんのほとんどは喫煙者です。そして、喫煙本数が増えるに従って死亡者が増えますが、一日の喫煙が1〜14本であっても非喫煙者の8倍以上もCOPDでの死亡率が増加します。
米国と日本におけるタバコ販売本数とCOPD死亡率の関係を
 詳しく知る

喫煙歴のある中高年の人に労作時の息切れや咳、痰があれば COPDを常に疑います。息を吐くときの空気の通りにくさを 調べる肺機能検査(スパイロ検査)で検査します。 1秒量(最初の1秒間で吐き出せる息の量)を努力肺活量 思いきり息を吸ってから吐ききったときの息の量で割っ た値(1秒率)が70%以下の場合COPDの可能性がありま す。その他検査や問診で診断が行なわれます。 COPDの診断において、胸部レントゲン写真では、肺胞が破壊されてのびきった風船のように肺が膨張しますので、横隔膜が低くなって肺が大きく黒く写り、血管陰影が見えにくくなります。CT検査を行うと胸部レントゲン写真では診断することが出来ない早期のCOPDも検出が可能で、肺胞が壊れた気腫の部分や、細気管支、気管支の病変が明瞭に確認出来ます。
COPDの胸部レントゲン写真およびCTを詳しく知る

COPDの治療は、禁煙、薬物治療、栄養管理、リハビリテーション(呼吸訓練、運動療法、排痰訓練など)在宅酸素療法、在宅人工呼吸、手術療法などから成ります。

1. 「禁煙」禁煙はすべての治療に優先します。タバコを吸いながら他の治療を行っても効果はありません。
2. 「薬物療法」慢性安定期を楽に過ごすために長時間作用型気管支拡張薬は最も効果的で重要な薬です。従来は、1日3回の吸入が必要な抗コリン薬とβ-2刺激薬が使われて来ましたが、2004年に上市された長時間作用型吸入コリン薬(臭化チオトロピユ−ム:スピリ−バ)は、1日1回の吸入で24時間もの長時間にわたって十分な気管支拡張作用が持続しますのでCOPDの患者さんがいちだん楽に過ごせるようになりました。
3. 「栄養管理」タンパク質と炭水化物、脂質を十分なカロリー量摂る必要があります。特に呼吸筋や四肢の筋力保持のために良質のタンパク質とカリウムカルシウムリン、マグネシウム、鉄などが不足しないように気をつけましょう。1回に沢山食べると腹部が膨満し、横隔膜が圧迫されて苦しくなりますので、少量ずつ小分けして食事回数を増やすことも必要です。
4. 「リハビリテーション」腹式呼吸と運動療法を効果的に行いますと呼吸困難を緩和し、日常生活の質を改善することが出来ます。リハビリテーションは外来では十分に身に付けることができませんので、実績のある病院に入院して効率よくマスターする必要があります。
5. 「在宅酸素療法」COPDは安静時はほとんど息切れはありませんが、わずかの動作でも呼吸が苦しくなりますので、患者さんは動くことを避けるようになり、動かないことによって筋力が低下して益々動けなくなるという悪循環に陥ります。酸素を吸入しながらですと楽に動けますので酸素療法も大変重要で、COPDの患者さんの生存期間を延長させることも証明されています。
6. 「在宅人工呼吸療法」近年、鼻マスクによる人工呼吸(NPPV)が在宅で出来るようになりましたので、入院してこの方法を導入し次いで在宅で継続しますと、長期間にわたり安定した状態を維持することが可能です。
7. 「手術療法」この治療法は過膨張した肺の一部を切り取って肺のボリュームを減少させる手術です。内科的治療でどうしても効果のない患者さんに行う方法ですので専門の施設で十分な検討を行ったうえでその適応が決定されます。
8. 「その他」COPDの患者さんが急性増悪したり死亡したりする誘因になるのは風邪やインフルエンザ、肺炎が最も多いので、これらを予防することも重要です。
※インフルエンザの予防接種、肺炎球菌の予防接種は必ず受けましょう。

下記設問(主なCOPDの症状)にお答え下さい。「はい」が多い方はすぐにかかりつけ医で適切な検査や治療を受けてください。
 
チェック1 現在40歳以上である。
チェック2 毎日たばこを吸っている。
チェック3 今は禁煙しているが、10年以上喫煙していた。
チェック4 ホコリや刺激性のガス等を吸い込む職場にいる。
チェック5 痰(たん)をともなう咳(せき)が3ヶ月以上続いている。
チェック6 同年代の人と同じペースで歩くときつい。
チェック7 階段を上がると息切れがする。
チェック8 日常の買い物などで息切れを感じることが多くなった。
チェック9 ゴルフなどスポーツで、他の人についていくのがきつくなってきた。
チェック10 息をするときに「ゼイゼイ、ヒューヒュー」という喘鳴が聞かれることがる。
 
  (※上記設問はあくまで目安です。)

  ■COPD(慢性閉塞性肺疾患)■
COPDは進行性の病気です。現在根本的に完治させる治療法は確立されていませんが、早期に発見し治療を開始すれは、呼吸機能の低下を食いとめられ、健康な人と変わらない生活を続けることができます。気になる症状がある方は、一日も早く診察を受けてください。
 

 

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